メルティ・ナイト


ふと視線を感じてそちらを向くと、令と呼ばれる彼がわたしを見ていた。

なにやら聞きたいことがあるようで、首が少し傾いている。



「……相坂はなんでわざわざ、この時期に、ロン高に来たわけ?」



言い方だけに注目すると冷たいように思えるけれど、金髪の彼の表情を見ると心底不思議そうだ。

さきほどの赤坂さんの紹介のとおりだと思う。


毒舌というか、ただド直球なだけなんだなと感じて、わたしも真摯にその言葉を受け止めた。


たしかに3年のはじめになって、この不良高校に転入してくるというのはなかなか変だと思う。

赤坂さんにも茉央くんにも聞かれたことだから、きちんと答えようと頭の中を整理した。



「実は……」




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