メルティ・ナイト


目が合った。


色素の薄い赤い髪が最初に目を引くけれど。

おそろしいほど綺麗な顔をしていて、思わず息を呑んだ。


蛇のような瞳はわたしを捕らえて離さない。

それなのに、話し方は依然としてゆっくりと柔らかい。


「お、なかなか可愛い顔してんね」



そんな言葉も様になる。

家に逃げ帰ろうとしていたのに、美形の人に声をかけられているいまの現状にパニック状態だ。


どうしたらいいのかわからなくて、なんとか言葉を絞り出す。



「あの、わたし、今日から転入する相坂(あいさか)すずかっていうんですけど……っ」


興味深そうにわたしを見つめる赤髪の彼に、さらに言葉を紡ごうとしたけれど。



「あれーっ!待って、女じゃん!」

「は?!うわっ、ガチだ!」

「てかめっちゃ可愛くね?!なんでこんなとこいんの?」

「噂の転入生ってあの子のこと?!」


< 8 / 84 >

この作品をシェア

pagetop