メルティ・ナイト
目が合った。
色素の薄い赤い髪が最初に目を引くけれど。
おそろしいほど綺麗な顔をしていて、思わず息を呑んだ。
蛇のような瞳はわたしを捕らえて離さない。
それなのに、話し方は依然としてゆっくりと柔らかい。
「お、なかなか可愛い顔してんね」
そんな言葉も様になる。
家に逃げ帰ろうとしていたのに、美形の人に声をかけられているいまの現状にパニック状態だ。
どうしたらいいのかわからなくて、なんとか言葉を絞り出す。
「あの、わたし、今日から転入する相坂すずかっていうんですけど……っ」
興味深そうにわたしを見つめる赤髪の彼に、さらに言葉を紡ごうとしたけれど。
「あれーっ!待って、女じゃん!」
「は?!うわっ、ガチだ!」
「てかめっちゃ可愛くね?!なんでこんなとこいんの?」
「噂の転入生ってあの子のこと?!」