身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 考えれば考えるほど、これまでの自分の過ちが次々と思いつく。

 いつから、看護師の笹原と付き合ったというんだ。

 今思い返してみれば、最後に食事したとき以降、彼女からの返答は素っ気ないものだった気がしないでもない。

 夏季休暇をどこに取ったかと訊けば、期間の詳細は教えず田舎に帰省するとだけ知らされた。

 おばあ様の体を理由にしていたが、もしかしたら退職を希望したのも俺のせいなのか……?

 だとすれば、このまま放っておくわけにはいかない。

 医局に戻ってスマートフォンを手に取る。

 あれだけはっきり拒絶されたのに、電話をかけるなんてしつこいだろうか。

 でも、そんなことを気にしている場合ではない。

 しかし、コールしても電話は繋がらず、時間をおいてまたかけ直す。

 それを数度してから【一度会って話したい】とメッセージを送ったものの、いくら待っても彼女から返信や着信がくることはなかった。

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