身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 まだ日が上り始めたばかりの午前五時半。

 ひとり暮らしの部屋を出て、早朝の街を歩き出す。

 手にはまちのあるキャンバストートバッグ。そこから覗くのは絵の具や色鉛筆などの画材だ。

 初夏の早朝は外を歩くのが気持ちいい。暑くもなく寒くもなく、この時期が一番好きだ。

 ひとり暮らしのアパートから徒歩で十分ほどのところに、都会には貴重な大きな公園がある。

 園内は緑に囲まれた散歩コースがあり、まさに都会のオアシス。

 広い園内はサイクリングロードがあったり、子どもたちの遊べる遊具やじゃぶじゃぶ池がある広場などもあり、老若男女誰でも楽しめる公園になっている。

 休日の日中などに訪れると、家族連れやカップルなどで賑わっているけれど、このくらいの時間は犬の散歩やランニングの人がちらほらいる程度だ。

 園内に入り、目的のボート池へと進んでいく。

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