身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「パパ……?」


 月が発した〝パパ〟という声に驚いて振り返る。

 こっちの異変に気づいていた子どもたちはボール遊びをやめ、いつの間にか私のすぐ背後にまで戻ってきていた。


「つき、ちがうよ。パパよりかっこいいもん」


 詩はそう言い、真顔でじっと水瀬先生を見つめる。


『パパはどこにいるの?』

 生まれたときから、すでに父親のいない子たちになってしまったふたりには、父親という存在について話すことをしなかった。

 いつか、話がわかる年頃になったときに、ふたりにはちゃんと話そうと決めていた。

 あなたたちのパパと私は、一緒にいられない運命だったということ。

 でも、パパはすごく素敵な人で、今でもママはパパが好きだということ。

 会えないけれど、パパもこの同じ空の下できっと元気でいるということ。

 そんな話をしようと思っていた。

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