身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
え、うそ……水瀬、先生……?
疑う気持ちで顔を凝視する。
普段見ているスクラブ白衣の姿ではなく、今はスタイリッシュなランニングウェアの姿。初めて見るプライベートな水瀬先生だ。
でも、どうしてこんなところに水瀬先生が?
そう思っているうちに、奪われていたバッグが突き返される。
「行こうぜ」
酔っ払いたちは覚束ない足取りでふたり揃ってその場を立ち去っていった。
呆然とその姿を見届ける私に「大丈夫か」と声がかけられる。
「はっ、はい!」
未だ信じられない状況に、思わず返事の声が大きくなった。
静かな朝の公園に、私の上げた声が響く。
そこにいるのはやっぱり水瀬先生で、瞬きを忘れてじっとその綺麗な顔を見つめていた。
「そうか。それならよかった」
「あ……あの、えっと」
何か言わなくてはと思ったものの、上手く言葉が見つからない。
でもふと、冷静な自分がこの状況を分析する。
もしかしたら、ただ単に困っていそうな人がいたから声をかけただけで、私のことを知っていて声をかけたわけではないかもしれない。
そう、きっとそうだ。
水瀬先生が私のことなんて知っているわけ……。