身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
でも、横にいる菜々恵は相変らず緊張の面持ち。
大丈夫だと何度言っても、やはり両親との対面を心配している。
こちら側からしてみれば、両親は菜々恵に申し訳ないと思っているくらいなのに、菜々恵はまるで俺を誑かしたかのような気分でいるようだ。
確かに、相手の親に挨拶をするのは緊張する。
菜々恵のお祖母様に挨拶をしたとき、俺もそれなりに緊張を伴った。
だから、気持ちはわからなくもないが……。
「菜々恵?」
「はいっ」
何か考えていたのか、これから対面するシミュレーションでもしていたのか、菜々恵は驚いたように反応する。
「大丈夫か?」
「はい。でも、やっぱり緊張してしまって……」
「こんな緊張する必要なかったなって思うと思うぞ? うちの親に会ったら」
「そんなことないですよ……」
早く両親に会わせてホッとさせてやりたい。そんなことを思いながら車を走らせた。