身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「初めまして。佐田菜々恵と申します。息子の月と、娘の詩です」


 深々と頭を下げ、菜々恵が母親に初対面の挨拶をする。


「初めまして、漣の母です。お会いしたかったわ、菜々恵さん」


 母親は手を伸ばし、まだ靴を履いたままの菜々恵の手を取る。


「話は聞いているわ。本当に、辛い思いと苦労をかけてしまったわね。ごめんなさいね」

「いえ! とんでもございません。私こそ、申し訳ありませんでした」

「菜々恵さんは何も謝ることないわ! 漣がさっさと菜々恵さんを私たちに紹介してくれていたら、対面がこんなに遅くなることはなかったのよ!」


 玄関先で謝り合うふたりの横で、月と詩が並んで座り靴を脱ぎ始める。ちゃんと自分たちで靴を揃え、「おじゃまします」と口々に中に入っていく。


「話は中でしたら」

 そう言い残し、子どもたちのあとを追いかけた。

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