身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「ぜひ挙げてもらいたいわ。ね、繁さん」

「ああ、そうだね」

「そうとなると、忙しくなるわよね。どこでお式を挙げるかとか、いつ頃やるかとか」

 母親は「招待するお客様も決めないと!」とずいぶん楽しそうだ。

「月くんと詩ちゃん、お待たせ」


 出てきたいちごの載るショートケーキに、月と詩は「わーい!」と早速フォークを手に取る。

 揃って「いただきます」とケーキを食べ始めた。


「でも、うちにもやっとめでたい話ができて良かったわ。漣の兄弟もね、未だ誰も浮いた話がないのよ。だから嬉しいわ」


 すると母親は「菜々恵さん」と改まって菜々恵を呼ぶ。

 菜々恵は「はい」と、またしゃんと背筋を伸ばした。


「これまで苦労かけてしまったけど、これからは私たちもなんでも力になるから。末永くよろしくお願いします」

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!」


 大人たちが真面目な話をしている横で、子どもたちが「ケーキおいしい!」と声を上げる。

 愛らしい子どもたちのおかげで、その場の空気が一気に和んだ。

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