身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「えっと……。よ、予定は……特に何もありません」
「そうか。それなら、今晩食事に付き合ってほしい」
「……。わっ、私が、ですか?」
思わず訊き返してしまう。訊く相手を間違っているとしか思えない内容だからだ。
「ああ、そうだ」
でも、水瀬先生は特に表情を変えず即答する。
「仕事の一環と思えばいい」
仕事の一環。その言葉が妙にすとんときて腑に落ち、「わかりました」と答えていた。
「仕事が終わったら、地下の駐車場で待ってる」
「は、はい。わかりました」
水瀬先生は思い出したように足早に階段を下り、私の前から立ち去っていく。
ひとりになった階段で、鼓動が大きく打ち鳴っていることに気が付いた。