身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
終業時刻後の十七時過ぎ。
支度を終えた私は、ひとり病院の地下駐車場の隅に隠れるようにして立っている。
こうして水瀬先生を待っているという状況が未だに信じられない。
本当に今から水瀬先生が来るのだろうか。
そんな半信半疑のまま、落ち着きなくキョロキョロとしている。
今まで片手で足りる程度にしか下りたことのない地下駐車場は、主に搬入業者の車が出入りする他、一部病院関係者のマイカーが駐車されている。
ここを指定されたということは、水瀬先生の車があるということなのかな……?
階段で話をしてから、そのあとの仕事中ずっと考えていた。
『仕事の一環と思えばいい』
ということは、私が水瀬先生をどこか食事にお連れしないといけないということ。
水瀬先生のことは全く知らないけれど、普段いったいどんなところに食事に行くのだろう。
少なくとも、私が行くようなレストランや居酒屋は行かないと思われる。
きっと、オシャレな高級レストランとかに……。
あれこれそんなことを考えているうち、静かな地下駐車場に足音が響いてくる。
コンクリートの柱からそっと顔を覗かせると、向こうから水瀬先生が歩いてくるのが目に飛び込んだ。