身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「検査の結果、貧血の原因がわかった」
「もしかして、何か重い病気でも……?」
私の手を握る漣さんの手にわずかに力がこもる。真剣な奥二重の目が、微かに目尻を下げた。
「新しい命が、宿ってた」
「えっ……」
漣さんの顔に優しい笑みが浮かぶ。
「う、そ……」
そう口にしたときには目は涙でいっぱいになっていて、漣さんの顔が波打って見える。
漣さんは椅子から立ち上がり、ベッドに横になる私に覆いかぶさるようにして抱きしめた。
「だから、貧血に……」
「月と詩のときも、そうだったのか?」
「はい。いつも貧血気味だって言われて、鉄剤も飲んでいて」
「そうだったのか」
何か重大な病を抱えていたらと、不安に襲われていた。
それが、まさか妊娠していたなんて思いもしない。
私からも点滴の無いほうの手で漣さんを抱きしめる。