身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「問題ない。俺ももう帰る間際だったから」
「そう、ですか……」
「君こそ、もう少し拒否することを覚えないといけないんじゃないか?」
「え……」
「酒だ。大分飲まされていただろう?」
薄暗く少しぼやける視界の中で、水瀬先生は目を細め私をじっと見つめている。
「あ……それは、勧められると断れないといいますか。場の空気を壊さないようにといいますか……」
「……まぁ、君のことだから、そんなことだろうとは思ったが」
「すみません……」
謝ることしかできず、申し訳ない気持ちで俯いているうち、タクシーは自宅アパートへと到着する。
バッグからお財布を漁っているうち、水瀬先生がカードで支払いを済ませてしまい、私の手荷物と手首を掴んでタクシーを降車した。
タクシーから降りると、夕方ホテルに着いたときにはまだ降っていた霧雨が上がっていた。