身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「先生、あの。大丈夫ですので」
これ以上迷惑をかけるわけにいかないと声をかけるも、タクシーから降車した足元がよろける。
水瀬先生も予測できない動きだったようで、掴んでいる手首を持ち上げるようにして私の体勢を支えた。
「ほら、どこか平気なんだ。部屋は」
「すみません。部屋は……二階の、一番奥なんですけど……」
掴んでいた手首を離し、抱えるように腰を抱かれる。こんな状況の中でも鼓動が早鐘を打ち始めて、心の中で自分に落ち着くよう呪文を唱えた。
私を連れた水瀬先生は、慎重に階段を上がり私の部屋を目指していく。
部屋の前に着くと密着していた体は離れ、慌ててバッグからキーケースを取り出した。
「あの、こんなところまでお送りいただいて、ありがとうございました」
お礼を口にしながら、ドアを開ける。電気のついていない暗い部屋が奥に広がり、玄関の小さな明かりを灯した。