身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「でも、ただの親切だけでこうして送ると言う奴ばかりじゃない」
「え……?」
「酔っ払わせて、あわよくば持ち帰ろうという奴だっているってこと」
「そっ、そんなこと……私なんかに思うはず」
突然両肩を掴まれて、ハッとして顔を上げる。
水瀬先生が眉を寄せて真剣な目をしていて、吸い込まれるようにその目を見つめ返した。
「君は全然わかってない。そんな自覚の無さでは、この先心配になる」
そう言ったかと思えば、水瀬先生は「悪い」と私から手を離す。その手はドアノブを掴んだ。
「あのっ、待ってください!」
無意識に部屋を出て行こうとする水瀬先生を引き留めていた。ドアノブに手をかけたまま、水瀬先生は私を見下ろす。
私を見つめるその目に、鼓動がトクトクと音を立て始めた。
「さっき、先生が来てくれて、すごく嬉しかったんです。私なんかのこと、気にかけてもらってたんだって」
もう、こうして接点を持つことなんてないと思っていた。
今日、パーティーの会場で遠目に水瀬先生を見て、やっぱり雲の上の存在だと再認識したからだ。