身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「水瀬先生……?」

 靴を脱いだ水瀬先生は、私を部屋の奥へと運んでいく。

 ワンルームの私の部屋は、ベッドがメインの居住スペース。その他には一人掛けのビーズクッションと小さなローテーブルがあるだけ。

 そんな窮屈な場所で、水瀬先生が私を降ろせる場所はベッドの上くらいなもの。

 玄関の明かりがわずかに届くだけの薄暗い部屋の中で、水瀬先生は私をベッドに横たえる。見下ろすようにして立ち上がった。

 咄嗟に、離れていく水瀬先生の腕を掴んでいた。無意識の自分の行動にハッとしたものの、引き留めたことに後悔はない。

 まだ一緒にいたい──その想いだけだった。

 互いに言葉はないものの、それを合図にしたように水瀬先生は手早くスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ベッドに足を上げる。

 私を跨いだ水瀬先生の姿を見上げ、壊れそうに打ち鳴る心臓を両手で抑えた。

 きっちりと締めてあるネクタイの結び目を掴み、邪魔そうに緩める。

 そんな仕草にも鼓動が激しく音を立て、胸が苦しい。

 水瀬先生の温かい両手が私の頬を包み込み、深い口づけを落とす。

 今度はすぐに唇を開かれ、口内で舌を捕らわれた。

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