身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「水瀬様、お待ちしておりました」
そんな声がかけられて顔を上げると、そこはシックな黒い外装のレストランエントランスだった。
水瀬先生が顔を覚えられているお得意様なのか、入り口のスタッフはスムーズに中へと案内をする。
そんなときだった。
「漣さん!」
後方から女性の声に呼びかけられ、私たちの足が止まる。
水瀬先生と共に振り返ると、そこには見たことのない美しい女性がひとり頭を下げていた。
ゆるふわの栗毛に色白の肌。目は大きく、ピンク色のリップが似合っている。
清楚なパウダーピンクカラーのワンピースからは細い手足がのび、ハイブランドのハンドバッグを持つ指先はネイルアートでキラキラ光る。
「漣さんにこんなところでお会いできるなんて!」
ドクンと鼓動が不穏な音を立てる。
『目黒製薬のご令嬢だって聞きました』
昼間の遼くんの声が耳の奥に鮮明に蘇ってきて、無意識に呼吸を止めていた。