身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「あの、今の方は?」
席へと案内されながら、つい水瀬先生に訊いてしまう。言ったそばから『訊くんじゃなかった!』と後悔に襲われる。しかし……。
「ああ、仕事関係の知り合いだ」
水瀬先生は大したことなさそうに即答する。
「そう、ですか……」
返ってきた彼女との関係に、そう反応するしかできなかった。
案内された席は、薄暗く雰囲気のいいレストラン最奥の窓際の席。
すぐ真横はガラス張りで、高層階からの夜景が眼下に広がる。
たくさんの光がキラキラと煌めき、ずっと眺めていても飽きない景色だ。
「俺は運転があるから飲めないけど、ワインでも飲むか? 飲みやすいものを頼んで」
「あ……いえ。私も、ノンアルコールで」
とてもそんな気分になれない。むしろ、食欲も全く湧いてこない。
「そうか、わかった。料理はコースで頼むけど、食べられないものがあれば先に知らせるが」
「あの、すみません」