身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 まさか……いや、そんなはず……。


 あの忘れられない熱い夜が鮮明に蘇り、私の頭を混乱させる。

 妊娠──その二文字が閃いたように浮かび、ハッと息を呑んだ。

 生理が来ない理由としては可能性は低いはず。

 だって、あの夜だけのこと。

 そんなこと、きっとあるはずない。

 だけど、普段乱れない周期が狂っている理由が他に見当たらない。

 水瀬先生とのあの一夜以外に、私の生活が大きく変わった部分がないからだ。

 でももしかしたら、失恋のショックを思っている以上に受けていて、その心労から生理不順になっているのかもしれない。

 生理不順には精神的な原因もあると聞いたことがある。

 人生で初めてのことを多く経験した期間だから、そういうことだって大いに有り得ると思えた。

 どちらにせよ、このまま生理がくるのを何もしないで待つのは落ち着かない。

 仕事帰りにドラッグストアに寄って、検査薬を買って帰ろう。


 大丈夫、きっと大丈夫。

 そう自分に言い聞かせながら持ち場に戻った。

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