どうにもこうにも~恋人編~
「妬いてるんですか」

「…」

「彼女のことは気にしないでください。今、私はあなたのことしか見えていませんよ」

「…」

「どうしたら君に安心してもらえる?」

 ソファで身を固くして体育座りをしている私の隣に彼は腰を下ろした。頭を優しく撫でられ、堪えきれず涙が頬を伝った。

「嫌な思いをさせてごめんね」

 私のつむじにキスをひとつ落とした。

「顔を上げてごらん」

 私は渋々顔を上げると、顎をぐいっと持ち上げられ口を塞がれた。

「こういうことをしたくなるのは君だけだよ」

 彼はにっと笑って私を横抱きにし、私は寝室へと連れられた。ふわっとベッドに寝かせられ、彼は私に覆いかぶさった。

「君を抱きたい」

 彼の真剣な眼差しに心拍数が上がっていくのを感じる。その真っすぐな瞳が私の真っ黒な心を粒立たせる。

「だめ、です」

 私は腕で自分の顔を覆った。無様な私を見てほしくなかった。あとからあとから涙が溢れて止まらない。

「なぜ?」

「私、こんなにすごく嫉妬してるのに…。すごく醜い、こんな私なんかが西島さんに抱かれる資格ありません…」

「それだけ私のことが好きだということですよね?」

「…大好きです」

「私もですよ」

 彼は大きな手でそっと私の腕を掴んでどけた。

「いつも真っすぐな君が好きだ」

 彼の低く穏やかな声が心地よく耳に響く。胸のあたりがじんと熱くなり、愛しい気持ちでいっぱいになった。
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