どうにもこうにも~恋人編~
 はっきりとした時間は分からないが、きっと既に深い夜が訪れていたのだと思う。月明かりがカーテンの隙間から差し込んでいる。

事の直後は荒かったふたりの呼吸も落ち着き、穏やかな時が私たちを包み込んだ。彼に後ろから抱き締められたまま、外の静けさと彼の呼吸に耳を傾けた。

「痛かったんじゃないかい?途中で余裕がなくなってしまって。すまなかったね」

 心地よく耳に響く彼の声に胸がきゅうっとなった。

「最初はちょっと痛かったですけど、それ以上に幸せでいっぱいです」

「そうかい?」

 彼は優しく私の頭を何度か撫で、つむじにキスをした。

「私も君とひとつになれて幸せだよ」

 その言葉に、先程までの一連の行為を思い出して下腹部がきゅんとした。

「今夜は一緒にいてくれないか?」

「泊まっていいんですか?」

「もちろん。ああ、シャワー浴びますか?汗かいたでしょう」

「いいですか?」

「ええ。寝巻貸しますよ。あとで持っていきます」

 私はベッドから這い出ると、一糸纏わぬ姿であることを思い出し、咄嗟に胸を両腕で隠した。

「見ないでくださいね!」

「今更でしょう。暗くてよく見えないですし」

 私は床に落ちている下着類を手探りで見つけ、そそくさと浴室へ向かった。
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