幸福を呼ぶ猫

クロは何も返事をしなかった。相変わらず僕をじっと見つめたまま何も気にしていない様子だった。

「でも、ともえは画家になることだって反対したよ」
「にゃぁっ!」
僕の方が先にクロから目を背けて、そう言うとクロはまた僕の足に爪を立てた。

「じゃあ、なに?クロは画家になるのを諦めてともえと一緒にいろって言いたいの?」
「にゃぁっ!」
クロはまた僕の足に爪を立てた。

「……ともえと別れずに画家にもなれってこと?」
「にゃぁ」
クロは肯定の返事をした。
そして、やっと分かったかとでも言いたげにいつものように僕の隣に腰をおろした。

僕はクロが何故そこまでして彼女と別れることに反対するのか分からなかった。
でも、クロが画家になることを肯定してくれたのがなんだか嬉しかった。
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