あやかしと玉響なる風 重なる正義と刃

「……殺されたくなければ、全て教えろ……」

すっかり真っ青になっているもう一人の男性と中年の男性に対し、真冬は扇子を向けながら言う。

「わ、わかったから放してやってくれ……」

中年の男性が慌てた様子で口を開く。

「私はムカエル。こっちにいるのがテッド。彼ら三人は私の助手をしてくれている」

ムカエルの言葉にヴィンセントが、「助手？何かを研究されているんですか？」と訊ねる。それにテッドが「そうだ」と答えた。

「とりあえず、私の家に来てほしい。そこで全てを話す」

必死な様子のムカエルは、とても演技をしているようには見えない。拘束・攻撃をしていた四人は顔を見合わせ、ゆっくりとエマとサミュエルを解放する。

「ハァ〜、救世主様たち怖すぎ！」

「マジで死ぬと思ったっす！」

エマとサミュエルが怯えた目をしながらムカエルとテッドの隣へと走り、チラチラとこちらを見てくる。

（救世主？何のことだ？）

風音は首を傾げつつ、ムカエルたちの後に続いた。