あやかしと玉響なる風 重なる正義と刃
風音たちは瓦礫の山と化した街を歩いていく。辺りを見ても、同じような景色だ。
「ひどい有り様ね……」
「これをあいつらがやったのか」
イヅナとレオナードが怒りを見せる中、それを見つめる風音の手を軽く真冬が引っ張る。
「真冬、どうしたんだ?」
「何かおかしいと思わないか?」
真冬はイヅナたちを警戒したような目で見る。彼女たちアレス騎士団と名乗った人間の手には、それぞれ武器が握られていた。妖を斬ったため、どの武器にも血が付着している。
「あんな武器を俺たちの世界では持って彷徨いている奴らがいるか?あのイヅナという女は間違いなく日本と欧米諸国のハーフだろうし、他の人間だってヨーロッパの人っぽい。ヨーロッパの法律なんて知らねえが、あんな武器を持っていいわけがない。特にあんなでかい鎌なんて、いつ使うんだ?どこの映画だよ」
真冬はレオナードの持っている戦鎌を見て、その目に嫌悪を浮かべる。一見すると無表情に見えるが、幼なじみという立場の風音にはわかるのだ。