君の息にピリオド.

渡の息

「平坂が失踪した…いや、自殺する前日。

俺は平坂から“僕ね、死のうと思う”という
メッセージが届きました。

送られてきたのは夜の2時ごろ。
メッセージを確認したのは次の日の昼です。

その時俺は環と一緒に勉強をしていました。最初はスルーしようと思ったけど
平坂は不謹慎な嘘はつきません。
俺たちは一緒に平坂の家に向かいました」

「何度も何度もインターホンを押しても
反応はありませんでした。

俺たちはドッキリと思い片付けようと
しましたが、“駐車場に車があるはず”なのになぜ出てこないのかという謎でひどく不安になったのを覚えています。

親はいるはずなのに出てこない、
自転車や徒歩で買い出しに行ったというならば納得はできますが

…平坂の家には通学専用の自転車しか
ないのと近くにスーパーがないのとで、
余計分からなくなりました」

「次の日学校だったので、その日聞こうと
思ったら、平坂は。………失踪したと
言われて。先生や他の親からは
誘拐かもしれないし、家出かもしれないから気にして欲しいと言われたまま、

何もなしに2年経ち、事件が始まりました」


そういい拳を握りしめる渡。

もし夜2時のメッセージに気がつけば、
平坂は生きていたのかもしれない。

そう考えているのだろう。

毎日誰よりも速く寝る渡にこのメッセージを送ったのは平坂の意図だろうか。
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