追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 腰に手を当て一度大きく伸びをし、ゆっくりと立ち上がったフェイロンは……びっくりするくらいの美女だった。年は私と同じくらい、長く艶のある黒髪に、薄い茶色の瞳がとても映える。アルメイダもかなり美人だけど、もうそんなの吹っ飛ぶくらいの美しさ。私は食い入るように凝視してしまった。

「あー、腰が痛い! なんとかならないかな、これ。ああ、待たせたな、ディオ。で、今日はなんの用だったかな」

「そういう冗談は要らない」

「ふふふ。相変わらず、このわたしに容赦ない物言い。そういうところが好きだよ」

「…………」

 フェイロンのからかいに、怫然とするディオ。そのやりとりには、かなりの親しさを感じる。宮様という上級役人であるフェイロンが美女であることにも驚いたけど、ディオとの関係が思ったよりも深いみたいでドキドキしている。
 先日ゼクスが言っていた、伴侶がなんとかという件。
 もしかしたら、それはフェイロンのことではないのか、と思ったからだ。古い知り合いで、軽口を叩ける仲なら、可能性がなくはない。

「そう怒るな。わかっているよ、あの件だろ? と、その前に……」
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