追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 宝石を片手に、部屋を歩き回る異様な様子を見たら、訝しむのも当たり前。
 でも、驚天動地のイリュージョンはこれからが本番。このあと、フェイロンがどんな表情をするのかが、非常に楽しみである。
 ドッキリを仕掛ける前のような心境で、私は創造を開始した。
 宝石を握り締め、ふうーっと息を吐くと、イメージを膨らませる。あれは確か、こんな色で、こんな機能がついていて……と組み立てていくと、創造物が姿を現した。

「……なんだ、これは。椅子か? いや、それよりも、いったいどこから出した?」

「魔法です。私、宝石を基にした創造魔法というものが使えまして……」

「ああ! 魔法ね。ファルナシオンには何人か使える人間がいるみたいだな。ソラスにも祈祷師が数人いるが、原理が全く違うようだ。お前、旅商人で魔法使いなのか? 珍しいな」

「は? あ、はい」

 あれれ? あまり驚いていない。どういうこと?
 あなたが驚いてくれないと、つまらないんですけど?
 内心でぼやいていると、フェイロンが言った。
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