追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「一年ぶり? では一年間ずっとこの塔の中にいるんですか?」

 ちょっと驚いた。一年も塔に籠って仕事をしているなら、運動不足になるのは当然だ。
 ……まあ、人のことはいえないけど。

「一年くらいで驚くなよ。二年、三年は普通だぜ?」

「そ、そうですか……これは早急に対策したほうがよさそうですね! では、お外に行きましょう!」

 さあさあ、と急かす私に背を押され、フェイロンは嫌そうな顔をした。
 ゼクスが自転車を担ぎ、ディオは私たちの後ろから楽しそうに階段を下りて来る。途中で用事を済ませたアルメイダと合流し、全員が星見の塔、中庭に移動した。
 中庭は思ったより広く、同じ大きさの石が等間隔で敷き詰められているお陰で、地面はフラットに近い。これなら、初心者でも問題なく練習出来そうだ。

「ではまず、ハンドルを持って、跨ぎ、座ります。それからペダルに片足を掛けて……踏むっ!」

 ぐっと片足を踏み込むと、車体が勢いよく進む。
 ああ! そう、これよこれ! 久しぶりの風を切る感覚に、私の胸は躍る。
 中庭を円を描くように一周して、みんなの前に帰って来ると、フェイロンが子供のような表情で駆け寄って来た。
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