追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「まああ! ぜひぜひ! お願いするわ」

 二重人格かな、と思うくらいマイアの表情は変化した。
 温泉は創りたいと思っていた施設のひとつなので、探しに行くのは別に手間でも何でもない。でも、このマイアの様子だと、温泉が湧かなかった時の反応が怖い。また、ヘンルーダとは違う意味で。

「うふふ。楽しみね。またお湯に浸かれるなんて、夢のよう」

 マイアの脳裏には、温泉に浸かっている自分の姿が浮かんでいるようだ。
 今日はもう、なにを説明しても聞いていないかもしれない、と諦めて静かにログハウスを出た。
 隣のログハウスからは、まだヘンルーダの怒りの声が聞こえて来る。
 グリーランドの女性たちは、クセが強くて、実に個性的である……。
 そう心に刻むと、私はそそくさとサーシャと守護獣が戯れるオアシスへと足を運んだ。
 
 次の日。
 朝食を済ませ、温泉探しに行こうとした私を呼び止めると、ディオは同行を申し出た。
 昨日のうちに、釣りと狩りをして食料を確保したので、今日は時間が空いているという。

「ディオ、本当に一緒に来てよかったのですか? たぶん無駄足ですよ?」
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