追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 森の中に入ると、開口一番、私は言った。探すと言っても、守護獣たちの勘と鼻を頼りに、むやみやたらに歩くのみ。計画性もなにもあったものじゃない。そんな温泉探索隊に加わったら、きっと丸一日無駄にすること間違いなしだ。

「無駄足でもいいじゃないか。ゆっくり森の中を、ララと探索する、そんな時間も必要だよ」

「はあ……あ、そういえば、自転車の調子はどうですか?」

「絶好調だよ。釣りに行く時や移動する時は、常に乗るようにしている」

 ディオは爽やかな笑顔で言った。ソラスで自転車の練習をした時、ディオもフェイロンのように、すぐにコツを覚えて乗りこなした。それから自転車の虜になったようで、いつも傍らに置いている。あの爽快感を知ってしまうと、手放せなくなるのも当然だ。かくいう私も、そんな人間のひとりだ。

「よかった。でも、山の中だとなかなか全力で走れませんよね。そのうち、サイクリングコースでも造って、みんなで楽しむのもありですね」

「お、それはいいな! みんなも自転車に乗りたがっていたから喜ぶと思うよ」
「じゃあ、台数を増やすことも検討しますね」
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