追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ゴホン。えーっと……それで、宰相についてなにをご覧になったのですか?」

「俺は、宰相ネビロスが祝祭の最中本性を現すのを見た。とても恐ろしい姿だ、さっき見た魔物の数倍はな。幼かった私は、その映像を見てネビロスを徹底的に避けたのだ。おそらくそれで、あいつは気付いたのだ。私が、自分の正体を知ったことに」

「では、正体を知られたために、火事を起こして暗殺を企んだということですね。それも予見なさったのですか?」

「そう、直前、火の手が上がる少し前に予見したのだ。もう少し予見が早ければ、母上が目を傷めることもなかった。それだけが悔やまれる」

 ディオが辛そうに言ったのを、ヘンルーダが明るく笑い飛ばした。

「なにを言っているの? あなたのおかげで助かったのよ。それに、もうなんでも見えるもの。私が今こうして笑っていられるのは、ディオとララさんのおかげよ」

 銀縁の眼鏡を誇らしそうに煌めかせるヘンルーダ。その様子を見て、出会った時のことを思い出した。
 何年も暗闇の中で、怯えながら暮らす日々が幸せだったとは思えない。
< 198 / 275 >

この作品をシェア

pagetop