追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「衛兵が? またどうして?」

「どうやら、娘のナタリアが聖女を詐称し、兄のレイス、そしてカレリアス伯爵もそれに加担したのだとか。本物の聖女であるララさんを追い出し、神事を妨げたという理由で牢に囚われている様子。近々極刑が下るのではとみんなが噂しております」

 ディオとガノンがこちらを見て気遣うような表情をした。
 家族の悲劇を耳にして、心を痛めていると思ったのだろうか。正直なところ、私は自分の気持ちがわからない。憐れむべきなのか、悲しむべきなのか、または、当然だと思うべきなのか。どんな感情もしっくりこない。ただ、なぜか「ざまあみろ」とは思えない自分に驚いている。

「ララ。大丈夫か?」

 ディオが尋ねて来た。

「あ、はい……あのちょっと席を外しますね、すみません」

 そう告げると、私はそそくさと席を立った。
 心配するみんなの目に耐えられなかったことと、うまく気持ちの整理がつかなかったから。
 ログハウスを出て向かったのは、月が近くに見える崖。ディオと話し込んでしまったあの場所だ。
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