追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「あ、待ってください。私から提案があります」

ディオの言葉を遮り、控えめに手を挙げた。

「うん。聞こう」

「ガノンさんたちが私を連れて帰らないと、宰相が怪しむと思うのです。なので、一旦聖女を王都へと連れ帰ったらどうでしょう?」

 一瞬、場が凍り付いた。
 ヘンルーダたち女性陣は首を傾げ、ウーノたちはポカンとし、ガノンは持ったジョッキを取り落とし、ディオは信じられないというように目を見開く。
 提案したのに誰も言葉を発しようとしないので、私は仕方なく続けた。

「私がガノンさんたちと帰れば、無事祝祭が行えて宰相は安心しますよね。なにも知らない振りをして従っていれば、気を許して祝祭までの間自由がもらえるかもしれません。その間を利用して、父や兄、姉と会い、彼らを脱出させます。ディオたちには決起の準備を進めて貰って王宮で合流、ということでどうでしょう?……あれ? ディオ? 顔がこわいですよ?」

 ディオの表情は、私が話を進めるたびに、硬く強張っていく。
 おかしいな。なにも間違ったことは言っていない。むしろナイスアイデアで絶賛されるかと思ったのだけど。
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