追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ディオの耳には小型のインカムが付いている。実はここに来る時も付けていたのだけど、アクセサリーだと思い宰相も誰も気が付かなかったのだ。それが、通信通話ツールだなんて思う人間は(悪魔含む)ひとりもいないだろう。

「サイクスとライルが、最後の民の避難を確認したそうだ。ゼクスは星見の塔の私兵と王都近郊で待機している」

「順調ですね。オットも王宮に潜入したのですよね」

「ああ。ウーノもガノンたちと合流し、騎士団に紛れて王宮外門にいるらしい。いつでも動けると連絡があった」

 ウーノたちにとって、王宮は庭のようなもの。どこからでも侵入出来るし、潜伏出来る場所もわかっている。オットに家族の救出を任せたのも、彼が王宮内を知り尽くしているからだった。

「そうですか。あとは祝祭の行われる北の祭壇へ、月蝕が始まるまでに合流すれば完璧ですね」

「北の祭壇か……魔王が封印された場所だな。祝祭以外では出入り禁止で、中を知る人間はほとんどいない。俺ですら見たことがないからな。多少不利ではある」

「未知の世界ですね。入れるのは宰相と私……王族であるアンセルは入るのでしょうか?」
< 247 / 275 >

この作品をシェア

pagetop