追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「さあ。だが、俺なら入れないな。あいつがいると計画が台無しになりそうだ」

 ディオは苦虫を潰したような顔をした。
 夕食時、やたら私の側に来たがるアンセルを、あの手この手で食い止めていたから、ディオは相当イライラしている。計画を台無しにしてくれるなら、その方がよいのでは?とも思うけど、こちらの計画も潰されそうなので、やはり彼にはご遠慮願おう。

「まあ、アンセルのことは、存在自体を忘れましょう。不快ですからね」

「そうだな。それがいい」

 ディオは機嫌を直して、武器の手入れを始めた。私は衣服のあらゆるところに忍ばせた宝石を確認し、スピネとムーンを呼び出した。彼らにも、宝石を持っていてもらおうと思ったからだ。万が一に備えて、いろんな場所に分散させて逃げ延びる……という作戦である。
 そして、準備万端で待っていると、やがて侍女が呼びに来た。
 外の月は、端の方が欠け始め、いびつな形になっている。
 とうとう月蝕が始まったのだ。
 北の祭壇まで案内されると、私は中へ、ディオは外で待つように言われ素直にそれに従う。
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