追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 日が落ちるのを待って、グリーランドを目指す私たち。これは、アメちゃんの姿を目撃されないようにするためだ。彼女が言う「わるいやつ」がなんなのかはわからないけど、目撃情報が出れば追われる可能性もなくはないからだ。
夜空に翼を広げ、悠々と滑空するアメちゃん。傍らを並行して飛ぶムーン。高いところが苦手らしく、髪飾りに戻っているスピネ。そして私は、アメちゃんの背でスクワットをしている。地上でトレーニングが出来ないので、その代わりだ。グリーランドに着くまでに、もう少し体力強化をはかるつもりである。日々の継続がもっとも大切、ということは身をもって知っているのだ。
 一晩飛び、昼になってから、深い森で仮眠をとる。ハイネ親子に貰った果物と干し肉を食べ、また日暮れに出発する。そうすると、次の日の早朝、朝日に照らされた大きな山脈が眼前に現れた。

「この山脈を越えたら、グリーランドだよ! 平地を探して降りるね」

 顔をこちらに向けて、アメちゃんが言った。

「よかった……私もう、墜落しそうでしたよ」

 か細い声を出したのは、ムーンである。彼は飛行動物の意地があるのか、飛んで行くことを選んだ。しかし、アメちゃんの爆速飛行について行くのは相当大変だったらしく、休憩を取るたびにぐったりしていたのである。

「みんな、お疲れ様! ここで、たくさん宝石が採れるといいね」
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