追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 場は、水を打ったように静かになった。男たちはもちろん、守護獣たちも驚いて動きを止めている。私は声のした方に目を凝らしてみた。すると、森の大木の後ろから男が現れた。年は私より少し上くらい、細身で背が高く顔立ちも整っている。ゆっくりとこちらに歩いてくる仕草が優雅で、周囲の背景と馴染んでいない気もした。

「お、お頭! すみません。こいつらを捕えようとしたのですが……」

スピネに踏みつけられた大男が、息も絶え絶えに言った。

「その必要はない。この人は客人だ」

「え? 客、ですか?」

 大男に答えもせず、細身の男はスタスタとこちらにやって来て、佇む私に手を差し伸べた。

「俺の仲間が失礼なことをしたようだ。どうか許してほしい」

「あ、ええ。はい、怪しい者じゃないとわかっていただけたら、それで」

「ありがとう。君たちも済まないね。もう、主人を傷つけたりはしないから。安心してくれ」
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