追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 山のような宝石をリュックに詰め込み、私たちは居住区に戻った。ちょうどお昼になった居住区からは、各家から香ばしい匂いがしている。そういえば、いろいろあって朝御飯を食べていない。私は小さくお腹を鳴らしながら、ディオと共に、ヘンルーダの待つ家に戻った。

「あ、お帰り」

「ただいま、母さん。ちょっと待っていて。今、昼食の支度をするよ」

 ディオは家に帰るなり、ヘンルーダに言った。
 あ、そうか。彼女は目がよく見えないから、ディオが食事の支度をするのね。
 家事は火を使ったり、刃物で野菜を切ったりと、危険なことが多い。確かこの世界、まだ竈しかなかったと思うから、微妙な火加減の調節をするのも難しいはずだ。

「いつもごめんね……私、なにも出来なくて」

「平気さ。さあ、ララも座って。大したものは振舞えないけどね」

 こちらを見て微笑むディオ。そのディオを見て、ヘンルーダはやるせない表情を浮かべた。
 してあげたいのに、なにも出来ない。そのことが辛いのだ。目を悪くしたのは、火事のせいであってヘンルーダのせいじゃない。でもやはり、母親として不甲斐ない気分になるのだろう。
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