追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 彼女の目が、再び世界を映し出せるように、と。
 息を吸い込み、そして吐く。すると、宝石はスタイリッシュな銀縁の眼鏡になり、ヘンルーダの耳に自然と掛かる。
 困惑していたヘンルーダの表情が、驚愕に変わったのを見て、私は成功を確信した。

「これは、どういうこと? 目が……よく見えるわ。ぼやけない、ハッキリと見える……」

 途切れ途切れに呟く母親に、ディオは目を丸くした。

「ララ! これがさっき言っていたアイテムか?」

「はい! 眼鏡です。掛けていれば以前と同じように見えますよ」

「あー、本当に君は……」

 感極まったディオの言葉の途中で、なにかが私の視線を遮り、ガバッとしがみついて来た。

「ララさん! なんて素敵なの。色がとても鮮やかに映るわ。このままなにも見えないまま終わるのだと、諦めていたのよ。でも、あなたが光をくれた。ありがとう」

「い、いえ。暫く違和感があるかもしれませんけど、我慢して下さいね」

 うんうんと頷くヘンルーダは、よく見ると泣いていた。
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