追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ヘンルーダは縋るように私を見た。
 この居住区に生きるすべての人の健康と安全のために、出来ることならそうしてあげたいと思う。
 でも残念ながら、創造魔法ではヘンルーダの料理スキルを上げられない。便利な道具を創り出すことなら出来そうだけど。

「ああ! ディオ様が、慌てて食べ物を貰いに来たのは、そういうわけですか。目が見えるようになって、調子に乗ったんですね」

「あら、酷い。でもそうなの、反省しているわ」

 済まなそうにため息を吐いたヘンルーダの眼鏡に、サーシャが手を触れた。そして、にっこり笑って言った。

「へんるーだしゃまー。おめめ、みえるの、うれしいねー」

「うん、嬉しいねえ。サーシャはまた言葉を覚えたわね」

「ええ。子供の成長って早いですね。なんにでも興味を持って大変だけど」

 ふたりの会話を、私は目を細めて聞いていた。
 幸せなごく普通の日常。暮らし向きは貧しいけど、暖かい世界がここにある。つい最近まで、自分が置かれていた異常な世界が嘘のよう……。

「そうだわ! ララさん。ウーノに聞いたのだけど、動物を連れているんですって?」
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