追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「どうかしら。私には先のことが見えないからなんとも言えないけれど……でも、あなたたちがもっとお互いを知ることが出来たら、流れが変わるかもしれないわね」

「ディオを、知る……?」

 ヘンルーダは静かに微笑んで広場をあとにした。
 どういう意味なんだろう。
 ディオを知るって、お話でもすればいいのかな? でも、聞く耳を持たないディオと話をしても、結果は変わらないと思う。他の誰が賛成しても、お頭であるディオが反対するなら、改革は絶対無理なのだ。そうとはわかっていても、私の耳にヘンルーダの言葉がこびりついて離れない。本当に深く知ったら流れが変わるのだろうか? 半信半疑のまま、私もヘンルーダのあとを追った。
 夕飯は、狩りで捕まえた鹿の肉と、ほんの少しの山菜だった。ディオの料理の腕前は超一級で、口にした肉には臭みが一切なく、食べやすくて柔らかい。本当にヘンルーダの血縁なのだろうかと疑ってしまうほど美味しかった。
 夕飯の片づけを手伝い、私は案内された部屋で、しばし寛いだ。
 部屋といっても元々が狭い家なので、広さは二畳ほどしかない。それでもひとりなら十分寛ぐことが出来た。
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