一途な令嬢は恋をする
「ふーーん、まぁいいわ。それよりもここ・・・次はここよ!」

「・・・・・・洋服屋?」

「そう! 私ここに1度来てみたかったの!」

「はぁ・・・・・・エリー、ここは僕らが来るところじゃないよ。ほら、見て。庶民が着るような服しか置いてない。これは僕ら貴族が着る服じゃないんだよ」

「ミット・・・・・・貴方バカなの?」

「・・・・・・ば、バカだって!? 何がどう聞いたらそうなるんだよ! 僕は注意してあげてるんだよ!!」

「だからそれがバカって言ってるのよ。はぁ・・・・・・あのね」

そう、私は服を何でも欲しかったわけではない。
ここの服が特別欲しかったのだ。

「ね、分かった? 私にはここの服が特別なものなの!」

事細かに説明してあげると最初は否定していたミットも理解してくれたみたい。
まぁ・・・本来の理由からは少し変えたけどね。

「なるほど・・・確かに僕らは庶民の流行に疎い部分があるかもしれない・・・・・・エリー、やっぱり君は面白い発想を持ってるね」

「でしょーーどんなもんだい!」

「そうやってすぐ調子に乗らなかったら・・・良い淑女なんだけどね・・・・・・」

「なんか言った?」

「いや、それも君の魅力なのかもしれないね。ううん、何にもないさ」

「あっそ。分かればいいのよ分かれば。ほら、時間が無いんだからさっさと中に入りましょ! 私いっぱい見たいのあるんだから!」

「はいはい・・・仰せのままに・・・・・・お嬢様」


それから私たちはお互いに好きな服を試着したり、選んだり。
服って見たらワクワクしちゃうわよね。

本当は他にも色んなところに行ってみたかったけど、もうお店を出た頃には夕方になっていた。
元気いっぱいだった太陽もオレンジ色へと変わり少し疲れの様子が伺える。

太陽も家に帰る途中なのだろうか。
私たちももうそろそろ家に帰らないと。
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