嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「そんな! イザベラ様に目をつけられたら、社交界で生きていけないわ。そしたら、結婚相手も見つけられなくなっちゃう! そりゃ、お父様がどこかから話を持ってきてくれればいいけど、それは無理そうだし」
「そうだなぁ、あの親父では無理だな」
そうなのだ、私たちの父はかろうじて伯爵をしているが、今や病気療養中の母につきっきりだ。
伯爵として要件のある時は、このディリス兄さんが代わりを務めている時もある。
「じゃぁ、お兄様が見つけてくれる? どなたか、騎士様の中でちょうどいい方はいらっしゃらないかしら?」
「ん? あぁ、まぁ、な、騎士団の中にもお前を気に入っている奴が、いないわけじゃない、が、なぁ、うん」
お兄様は歯切れの悪い返事をしている。
これだけ頻繁にお兄様に会いに騎士団の鍛錬場に顔をだしているのに、実は誰からも声がかかったことがない。いや、一人だけいた。
「おっ、今日もいいもの持ってきたな。ん? クッキーか?」
その唯一私に声をかけてくる騎士の一人である、ウィルティム様が今日も声をかけてきた。
「これは、兄さまの分です。ウィルティム様の分は、こちらですよ」
別にしていたクッキーの袋を渡すと、彼はニカっと笑って受け取った。
うん、やっぱり男の人は素直に笑う方がいい。
あの王子様のように、仮面の笑顔を張り付けているのは健康上に良くないと思う。
「そうだなぁ、あの親父では無理だな」
そうなのだ、私たちの父はかろうじて伯爵をしているが、今や病気療養中の母につきっきりだ。
伯爵として要件のある時は、このディリス兄さんが代わりを務めている時もある。
「じゃぁ、お兄様が見つけてくれる? どなたか、騎士様の中でちょうどいい方はいらっしゃらないかしら?」
「ん? あぁ、まぁ、な、騎士団の中にもお前を気に入っている奴が、いないわけじゃない、が、なぁ、うん」
お兄様は歯切れの悪い返事をしている。
これだけ頻繁にお兄様に会いに騎士団の鍛錬場に顔をだしているのに、実は誰からも声がかかったことがない。いや、一人だけいた。
「おっ、今日もいいもの持ってきたな。ん? クッキーか?」
その唯一私に声をかけてくる騎士の一人である、ウィルティム様が今日も声をかけてきた。
「これは、兄さまの分です。ウィルティム様の分は、こちらですよ」
別にしていたクッキーの袋を渡すと、彼はニカっと笑って受け取った。
うん、やっぱり男の人は素直に笑う方がいい。
あの王子様のように、仮面の笑顔を張り付けているのは健康上に良くないと思う。