嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 私はただ、イザベラ様に王子様がぴったりだと言いたかっただけで、私はちっとも王子様を好きではない。

 間違っても憧れてもいない。

 あの言葉は嘘なんです。ほんと、全て忘れていただきたいけど、もう遅い。

 王子様が去った後で、イザベラ様をチラッと見ると、やはり、悔しそうに顔を少し歪めている。

 ああ、最悪だ。彼女を怒らせてしまった。

「イ、イザベラ様。あの、私、王宮のお茶会は遠慮させていただきますので」

 こうなったら、お茶会は辞退する方向で。当日に具合が悪くなってもいい。

「いえ、リアリムさん。こうなったら貴方にも来てもらいたいわ。友人の私が傍にいれば、大丈夫でしょう?」

 あああ、イザベラ様。そのお顔は、にっこりされていても腹の中は正反対ですね。

 でもって、ここで私が行かないと、いかにもイザベラ様が邪魔をしたように思われるので、行かないといけないのですね。はい、わかりました。

「えぇ、イザベラ様とご一緒なら、心強いです。もちろん、イザベラ様の美貌に叶う方などおられないので、私もにぎやかしとして参加させていただきます」

 こうなったら、腰ぎんちゃくの力を発揮しよう!

 イザベラ様を持ち上げて、褒め要員となるのだ、私!

 波乱の予感しかしないお茶会を思って、私はため息をついた。平凡な結婚をするために、平凡な相手を早くみつけたいだけなのに。なぜこうなったの、、。

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