華夏の煌き
そろそろ戻ろうというときに、すっと影が動いたのを蒼樹は見た。何か反射する光が見えた瞬間に蒼樹はムアンの前に立つ。
「星羅! 陛下を守れ!」
「えっ!?」
慌てて星羅もムアンの背後に立ち、背を向け、剣を抜いた。お付きの者もムアンを囲み剣を抜き周囲を見る。
「反対者か……」
ムアンが周囲ににらみを利かせていると、木の陰から黒装束の者が数名現れ、斬りかかってきた。剣が短く突くような動きを見せ、星羅は応戦するので精一杯だ。蒼樹は剣の長さで間合いをとり、二人倒す。お付きの者は一人負傷したが、王を守る精鋭なので、黒装束の者を打ち負かしていった。
「危ないところであった。まさかこの機会を狙ってくるとは」
「ご無事で何よりです」
「まだ息のある者がいますな」
蒼樹は倒れている黒装束の者に話しかける。
「誰の手の者だ」
きっと睨みつける黒装束の男の顔の布をはぐと、顔を膨らませたので、蒼樹はさっと手をかざした。
「うっ……」
「がぎゅっ……」
蒼樹の手に含み針を吹いたのち、男は舌を噛み切って死んだ。
「蒼樹!」
手を押さえ針を直ぐに抜いた蒼樹のもとに星羅は駆け寄る。彼の手が見る見るうちに膨れ紫色になってきた。
「いけない。それはわが国の毒だ!」
「う、うっ」
「どうすれば!」
毒が回らないように手首を力強く蒼樹と一緒に星羅は握る。
「お、落とすしか、ない」
「落とす? 手、手をですか?」
青ざめる星羅に、蒼樹は呼吸を整えて「星羅がやってくれ」と頼む。
「そ、そんな」
「早く。方法があるのだ。早くしないと身体に届く。今なら肘の下でよい」
「星羅殿!」
震えながら星羅は唇を強く噛んで立ち上がる。蒼樹は平べったい岩の上に腕を伸ばして置いた。
「こちらのほうが良いでしょう」
お付きの者が鉈のような太く短い剣を渡す。
「蒼樹、やるわ」
「ああ」
青黒くなっていく手首を見ながら、星羅はそのもう少し上のほうに目標を定め剣を振り下ろす。ガチンッと岩にまで届く音が聞こえ、一回で星羅は腕を落とすことに成功した。
「し、止血を」
意識が遠くなりそうな中で、星羅は蒼樹の腕を縛り止血に勤しむ。お付きの者に背負われ、蒼樹は素早く高台から降り王宮へと運ばれていった。
「星羅! 陛下を守れ!」
「えっ!?」
慌てて星羅もムアンの背後に立ち、背を向け、剣を抜いた。お付きの者もムアンを囲み剣を抜き周囲を見る。
「反対者か……」
ムアンが周囲ににらみを利かせていると、木の陰から黒装束の者が数名現れ、斬りかかってきた。剣が短く突くような動きを見せ、星羅は応戦するので精一杯だ。蒼樹は剣の長さで間合いをとり、二人倒す。お付きの者は一人負傷したが、王を守る精鋭なので、黒装束の者を打ち負かしていった。
「危ないところであった。まさかこの機会を狙ってくるとは」
「ご無事で何よりです」
「まだ息のある者がいますな」
蒼樹は倒れている黒装束の者に話しかける。
「誰の手の者だ」
きっと睨みつける黒装束の男の顔の布をはぐと、顔を膨らませたので、蒼樹はさっと手をかざした。
「うっ……」
「がぎゅっ……」
蒼樹の手に含み針を吹いたのち、男は舌を噛み切って死んだ。
「蒼樹!」
手を押さえ針を直ぐに抜いた蒼樹のもとに星羅は駆け寄る。彼の手が見る見るうちに膨れ紫色になってきた。
「いけない。それはわが国の毒だ!」
「う、うっ」
「どうすれば!」
毒が回らないように手首を力強く蒼樹と一緒に星羅は握る。
「お、落とすしか、ない」
「落とす? 手、手をですか?」
青ざめる星羅に、蒼樹は呼吸を整えて「星羅がやってくれ」と頼む。
「そ、そんな」
「早く。方法があるのだ。早くしないと身体に届く。今なら肘の下でよい」
「星羅殿!」
震えながら星羅は唇を強く噛んで立ち上がる。蒼樹は平べったい岩の上に腕を伸ばして置いた。
「こちらのほうが良いでしょう」
お付きの者が鉈のような太く短い剣を渡す。
「蒼樹、やるわ」
「ああ」
青黒くなっていく手首を見ながら、星羅はそのもう少し上のほうに目標を定め剣を振り下ろす。ガチンッと岩にまで届く音が聞こえ、一回で星羅は腕を落とすことに成功した。
「し、止血を」
意識が遠くなりそうな中で、星羅は蒼樹の腕を縛り止血に勤しむ。お付きの者に背負われ、蒼樹は素早く高台から降り王宮へと運ばれていった。