華夏の煌き
馬をつないでいると、馬の世話を焼く大男が順番に飼い葉を与えていた。
「ありがとう。これから世話になるよ」
星羅が声を掛けると大男はびっくりして顔をあげる。
「お、おで、もう10年働いてるけど声を掛けられたのはじめてだ」
「え? そうなのか?」
「う、うん」
大男は身体は大きいが童のように笑って喜んでいる。星羅もつられて笑んでいると「許仲典と申す」といきなり右手こぶしを左手のひらで包む拱手をし挨拶する。
「朱星――朱星雷です。よろしく」
星羅も慌てて名乗った。
「で、星雷さまはどこいくだ?」
「さま、なんていらないよ」
「そうか? んじゃ星雷さんはどこいくだ?」
「わた、えっと僕は軍師省にいくんだ」
「そっかそっか。なら、そこの角を曲がって階段を上がるとすぐ着くだよ」
「へえ。ありがと。じゃ、また」
馬の世話係の許仲典と知り合ったおかげで、星羅はこれからいろいろな情報を得られることになっていた。
47 顔合わせ
他の省と違って人数の少ない軍師省は静かだ。星羅が履物を脱いで板間に上がると、すでに空色の着物を着た男が2人下座に座っているのが見えた。背の高い男と低い男が談笑している。
「失礼します。遅くなりましたか?」
「やあ。君が朱星雷くんか?」
「ええ」
小さい男が朗らかで親しみやすい声を掛けてくる。
「よろしく、おれは徐忠正だ」
背の高い男も「郭蒼樹だ」と名を告げる。聞き覚えのある声に星羅は「あの、さっき」と言いかけたがやめて「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。
「まだ早いからおれ達だけだ。自己紹介してたのさ」
「そうですか。お二人はどちらから?」
低めの声色で星羅は尋ねた。これから3人で協力したり競ったりする仲間になるので興味がわく。学舎では学問をしていても、誰かと志が同じではなかったので、親しくなることも切磋琢磨することもなかった。星羅にとって、徐忠正と郭蒼樹は初めての仲間になるのだ。
「おれは色々試験受けたら、難関のはずのここに受かっちゃってさ。ほかは全滅だったのに」
「家が代々軍師の家系だ」
「わ、僕は高祖にあこがれて目指しました」
「ありがとう。これから世話になるよ」
星羅が声を掛けると大男はびっくりして顔をあげる。
「お、おで、もう10年働いてるけど声を掛けられたのはじめてだ」
「え? そうなのか?」
「う、うん」
大男は身体は大きいが童のように笑って喜んでいる。星羅もつられて笑んでいると「許仲典と申す」といきなり右手こぶしを左手のひらで包む拱手をし挨拶する。
「朱星――朱星雷です。よろしく」
星羅も慌てて名乗った。
「で、星雷さまはどこいくだ?」
「さま、なんていらないよ」
「そうか? んじゃ星雷さんはどこいくだ?」
「わた、えっと僕は軍師省にいくんだ」
「そっかそっか。なら、そこの角を曲がって階段を上がるとすぐ着くだよ」
「へえ。ありがと。じゃ、また」
馬の世話係の許仲典と知り合ったおかげで、星羅はこれからいろいろな情報を得られることになっていた。
47 顔合わせ
他の省と違って人数の少ない軍師省は静かだ。星羅が履物を脱いで板間に上がると、すでに空色の着物を着た男が2人下座に座っているのが見えた。背の高い男と低い男が談笑している。
「失礼します。遅くなりましたか?」
「やあ。君が朱星雷くんか?」
「ええ」
小さい男が朗らかで親しみやすい声を掛けてくる。
「よろしく、おれは徐忠正だ」
背の高い男も「郭蒼樹だ」と名を告げる。聞き覚えのある声に星羅は「あの、さっき」と言いかけたがやめて「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。
「まだ早いからおれ達だけだ。自己紹介してたのさ」
「そうですか。お二人はどちらから?」
低めの声色で星羅は尋ねた。これから3人で協力したり競ったりする仲間になるので興味がわく。学舎では学問をしていても、誰かと志が同じではなかったので、親しくなることも切磋琢磨することもなかった。星羅にとって、徐忠正と郭蒼樹は初めての仲間になるのだ。
「おれは色々試験受けたら、難関のはずのここに受かっちゃってさ。ほかは全滅だったのに」
「家が代々軍師の家系だ」
「わ、僕は高祖にあこがれて目指しました」