カタストロフィ
「マクレガー家のご令嬢はどんな方だった?マーカス様とは上手くやっていけそうかしら?」
婚約披露のパーティーがあったその日の夜、自室に忍び込んできたダニエルにしなだれかかりながらユーニスは尋ねた。
出自やダニエルとのもともとの関係性を考えればまだ公の場に出すべきではないと判断したシェフィールド伯爵夫妻により、ユーニスはマーカスの婚約披露パーティーに出席出来なかった。
レイモンドの急死により生活が一変したマーカスがどれだけの苦労をしているのか、遠目からしか見ていなくてもユーニスはある程度想像出来、ため息が出た。
出来ることなら、彼を支えシェフィールド家を盛り立ててくれるような花嫁であって欲しい。
そう思うのと同時に、マクレガー家の令嬢がこの婚姻に気乗りでなかったとしても致し方ないと思ってしまう自分がいる。
マーカスは若いとは言えないし、美男でもない。
つい最近までは次男坊として家業とは付かず離れずの距離で居たのだから、どこまで仕事についていけているのかもわからない。
そんな好条件とは言えない男性と結婚するとなると、どんな女性だって不安になるだろう。
ふとダニエルの目を覗き込むと、彼の瞳の碧はいつもより輝きが鈍い。
「ダニエル?」
再び呼びかけると、ハッとした表情でダニエルはユーニスを見つめ返した。
一緒にいる時は片時もユーニスからは目を離さない彼が、なんだか今日はぼんやりしている。
「ああ、マクレガー家の令嬢は……なんというか、典型的な貴族のお嬢様だったよ。兄さんと相性が良さそうかと聞かれたらなんとも言えないが、悪くもなさそうだ」
「そう。なら、あなたの顔色があまり良くないのは疲れからかしら?もしかして苦手なタイプの女性だった?」
苦笑し、「君に隠し事は出来ないな」などとぼやきながらも、ダニエルの目にようやく光が戻った。
もうこれ以上聞くのはやめよう。
そう思い、自らキスすることで空気を塗り替える。
まさかユーニスのほうからキスしてくるとは思わなかったのか、ダニエルは目を見開き、一瞬固まった。
しかし緊張はすぐにほぐれ、舌を絡めながらあちこちに手を這わせはじめた。
ダニエルが求めるままにユーニスは素肌を晒し、彼が触れるたびに身を捩らせた。
すっかり躾けられた体はこれまで覚えた快感を思い出し、素直に指を受け入れる。