カタストロフィ


グチャッ、と粘着質な水音が暗闇の中で控えめに鳴った。
一切の抵抗を見せずに指を飲み込み、それどころかもっととねだるように腰を揺らすユーニスがあまりにも扇情的で、ダニエルは理性という手綱を手放すしかなかった。


「ほとんど触っていないのにこんなに濡れているなんて……指じゃ物足りないないだろう?」

「わかっているなら焦らさないで」


懇願するユーニスの声が嬌声に変わる。
荒々しい吐息と、シーツが乱れる音、ダニエルが楔を打ち込む音が闇夜の中に溶けていく。

子宮口を幾度となく刺激され、三半規管が狂うような快楽と肌の暖かさに酔いながら、ユーニスは必死でダニエルに手を伸ばした。

挿れられたままでのキスが欲しくて、無我夢中で唇を寄せれば、すぐさま彼は応えた。

もうすぐ絶頂が来る予感に体を震わせ、ユーニスは意識してダニエルの男根を締め上げた。

一際大きな吐息がダニエルから吐き出された後、容赦の無い抽送が始まる。
一切の動きを封じるかのように手首をまとめて掴まれ、片足を持ち上げられたその時、ユーニスの中に残っていたわずかな羞恥心が頭を出した。

しかし、すべてを見られる恥ずかしさは、与えられている快楽を強くするスパイスにしかならない。

不意に波が訪れて、ユーニスが体を大きく震わせて脱力すると、その後を追うようにダニエルが絶頂を迎えた。
厚いゴム越しでもわかるほど、そこはドクドクと脈打っている。

ほんの数十秒ほどで事後処理を済ませ、ダニエルは水差しの水をタオルに含ませるとサッと体を拭いた。
そして自分の時よりも遥かに丁寧に、ユーニスの体も拭き始めた。


「ありがとう」


感謝の気持ちを込めて軽く口づけを落とせば、穏やかな微笑みが返ってくる。
結婚するまではこれが非日常であることを思い出し、ユーニスは初めて名残惜しさを感じた。


「早く結婚したいわ」

「僕もだよ。もうさ、兄さんの結婚は待たずに次の春に式を挙げようか。4月の終わり頃にでも」

「良いのかしら?もし可能なら、そうしたいわ」


実現性が低いことはよくわかっていたが、そんな幸せな未来を考えると胸が温かい。
きちんと夜着を着直して、抱き合いながら眠りに落ちる。
恋人として最も濃密で幸せなその時間を噛み締め、二人は穏やかに残りわずかな夜を過ごした。


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