カタストロフィ
マーカスの婚約発表の翌日、ジェーンはユーニスを呼び出し、唐突に告げた。
「ダニエルがミラノに戻る前に、我が家で身内だけのお茶会をしましょう。メアリーと、マーカスと、キャロライン嬢を呼ぶわ。ユーニス、貴女も参加してちょうだい」
「私もご一緒してもよろしいのですか?」
「まだ公にはしていないものの、貴女はダニエルの婚約者だもの。それに、この前の婚約披露パーティーには貴女を呼べなかったし……」
奥様からお義母様と呼ぶようになってまだ日が浅いため、ユーニスはなんとも言えない表情で苦笑した。
婚約の経緯を考えると手放しで喜べるものではないからか、ジェーンの方もユーニスとの距離感を測りかねている様子で、気まずそうに微笑んでいる。
しかし、こうして折に触れ、身内と変わらない扱いでユーニスを遇するあたり、ダニエルとの結婚は認めているのだろう。
それが伝わっているからこそ、ユーニスは多少ジェーンの笑顔がぎこちなくても耐えられるのだ。
「お気遣いありがとうございます。準備をする時にはお声掛けください。今後の為にも、お義母様のお手伝いをしたいので。そうそう、メアリーとキャロライン嬢は年齢が近いので、良いお友達になるかもしれません」
「ありがとうユーニス。実はもうキャロライン嬢の予定は押さえてあるの。先方の都合が悪くならなければ、明後日の夕方に我が家にいらっしゃるわ。今夜シェフとお茶菓子のメニューの選定を行うから、同席してちょうだい。それから、私もメアリーには歳の近いお友達がまだ何人か必要だと思っていたの。先のお茶会以降、メアリーの社交はストップしたままだし……貴女はお手本としては申し分なかったけれど、お友達とはまた違う存在でしょう?」
「おっしゃる通りですわ。私とメアリーは歳が離れすぎていますもの。あ、ところで、マーカス様とキャロライン嬢のご結婚はいつ頃を予定していらっしゃいますの?私自身の結婚もですが、メアリーの社交界デビューが延期になってしまったのが気掛かりでして」
「そうねえ」
思案顔で紅茶のカップを弄びながら、ジェーンは確かめるように言った。
「5月の終わり、もしくは6月の上旬が良いかしら?夏までには式を挙げさせたいわ。メアリーの社交界デビューは5月に入ってすぐよ。忙しくなるけれど、慶事が重なるのは良いことだし」
「となると、挙式はロンドンで?」
「そうなるわね。ああ、そうだわ、ユーニス、あなたとダニエルの挙式は7月に入ってすぐにしましょう。来年のシーズンの終わりはあなた達の結婚式で締めくくるわ!」