不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
「あら、それはどうかしら。旦那様はキーラ王女を妹のように可愛がっていますもの。妹のように思っている方とご結婚はなさらないのではなくて?」
「そうかもしれませんけど、でも、そうなるとほかにお相手が……」
「ほかの公爵家? にはお相手がいないんですか?」
まだあまり話を理解できていないソフィアが何気なく訊ねると、ソフィアの髪を編み込んでいたメイドが教えてくれた。
「ヴォルティオ公爵家は、現在のグラストーナ国で一番位が高い公爵家ですからね。なにせ隠居なさった前公爵様は陛下の弟君ですから。年ごろのお嬢様がいらっしゃる公爵家はあるにはありますが、政治的な面でもややこしい事情がおありなのですよ」
「旦那様はヒューゴ王子に次ぐ王位継承順位をお持ちですから、王子に万が一のことがあった場合、旦那様の奥方が王妃殿下になられる可能性もございますからね、それを考えると適当なところで手を打つことはできないのです」
ソフィアはふーんと頷いたが、難しすぎる話だったからよくわからなかった。するとメイドのひとりが「あら、そうですわ」と笑いだした。
「キーラ王女がだめでも、お嬢様がいらっしゃるではございませんか」
「……ん?」
メイドふたりがキラキラとした目を向けてきたので、ソフィアはきょとんとした。"お嬢様"がどこの誰かはわからないが、ふたりの目はソフィアに向いている。もしかしなくてもふたりの言う"お嬢様"はソフィアのことだろうか。
なんのことだかわからずに首を傾げていると、部屋の扉を叩く音がした。メイドのひとりが扉を開ければ、扉の外にはランドールが立っていた。
「そうかもしれませんけど、でも、そうなるとほかにお相手が……」
「ほかの公爵家? にはお相手がいないんですか?」
まだあまり話を理解できていないソフィアが何気なく訊ねると、ソフィアの髪を編み込んでいたメイドが教えてくれた。
「ヴォルティオ公爵家は、現在のグラストーナ国で一番位が高い公爵家ですからね。なにせ隠居なさった前公爵様は陛下の弟君ですから。年ごろのお嬢様がいらっしゃる公爵家はあるにはありますが、政治的な面でもややこしい事情がおありなのですよ」
「旦那様はヒューゴ王子に次ぐ王位継承順位をお持ちですから、王子に万が一のことがあった場合、旦那様の奥方が王妃殿下になられる可能性もございますからね、それを考えると適当なところで手を打つことはできないのです」
ソフィアはふーんと頷いたが、難しすぎる話だったからよくわからなかった。するとメイドのひとりが「あら、そうですわ」と笑いだした。
「キーラ王女がだめでも、お嬢様がいらっしゃるではございませんか」
「……ん?」
メイドふたりがキラキラとした目を向けてきたので、ソフィアはきょとんとした。"お嬢様"がどこの誰かはわからないが、ふたりの目はソフィアに向いている。もしかしなくてもふたりの言う"お嬢様"はソフィアのことだろうか。
なんのことだかわからずに首を傾げていると、部屋の扉を叩く音がした。メイドのひとりが扉を開ければ、扉の外にはランドールが立っていた。